TENDER LOVEU
□Chapter 37-side.taemin-
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「ヒョン、おはよう」
『テミン・・・おはよ・・・』
「手短に済ますから。」
『いいよ、手長でも。』
帰り道、電話をかけた。
久々にまともに声を聞いた。
「僕はね、ヌナが好きだ。」
『うん・・・』
「だから、ヒョンに“ヌナをよろしく”なんて、多分・・・しばらくは、言えない。」
足元の小石を、軽く蹴る。
「もし前みたいに、ヒョンがヌナと話してるの、見たり聞いたりしたら、やっぱり、悲しいと思う。」
ヒョンは静かに聞いていた。
「でも。」
僕は、空を仰ぐ。
夜明けを迎え切った、空。
「僕は、ヒョンのことも、大好きだよ。」
今日という特別な日の朝も、いつものように、空は白く染まって。
「ひどいことたくさん言って、ごめんね。」
『テミナ・・・』
「・・・あーぁ、ここ最近、よく眠れなかったから眠いよ、ホントに!」
今度はヒョンが、小さく笑う。そして、黙る。
僕の声の震えが。
受話器越しに涙が。
「・・・ヌナのところに、行ってあげて。」
伝わっていませんように。
でも、そんなの、きっと。
『ありがとう・・・テミナ、』
バレてるんだ。
『俺も、大好きだよ。』
空が少し、滲むけれど。
愛は時に、非情だけれど。
ヒョンの、暖かい声は。
『帰っておいで、テミン。』
「・・・うん。」
僕を、導く。
僕の、家へ。
『朝ごはん作って、待ってるよ。』
愛は。
苦しくて。
惨めで。
情けなくて。
嫌になった。
でも。
とても、色鮮やかだった。
鳥が旋回してる。
世界を見下ろして。
・・・この世界は、美しいだろ?
それは、僕が。
大切な人にさよならを告げた、柔らかな朝のことだった。