君のとなりで、
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雛乃の作った夕飯はすごく美味しかった。
二人で作ろうと言ったはずなのに、ほとんど雛乃が作ってしまって。
俺何もしてないじゃん、って言ったら可笑しそうに笑っていた。
夕飯の後雛乃に先にお風呂を使ってと言われ、借りたあとリビングに戻ってみたら雛乃はソファーに横になっていた。
テレビを見ているのかと近づいてみたら、雛乃からは小さな寝息が聞こえてきた。
「雛乃…寝てるの?」
寝ていると分かっていても聞いてしまうのは何故だろうと、疑問に思いながら雛乃の髪にそっと触れる。
「雛乃……」
頬に手を滑らせると、ふにゃりと雛乃が笑った。
夢でも見ているのだろうか…
どんな夢を見ているんだろうとか、夢の中で少しでも俺のことを考えてくれてたら嬉しいなぁとか、そんなことを考えている自分は相当雛乃が好きなんだと思うと少し照れくさくなった。
雛乃の寝顔を見ていると突然ドアが勢いよく開けられ、なかなか帰ってこなかった亮司さんと奈都子さんが顔を出した。
「帰ったぞー!…なんだ、父が帰ってきたというのにウチの娘は寝てるのか?」
「ただいまぁ。久しぶりね、伊澄くん」
帰ってきた二人の両手はたくさんの荷物で塞がっていて、それを見ていたら亮司さんがお土産と言って俺にたくさんの紙袋を渡してきた。
「ありがとうございます。…あの、雛乃起こしますか?」
「寝てるなら起こさなくていいわよ。それより伊澄くん!娘との関係は進んだ?」
「え!?」
「伊澄くんが息子なら大歓迎だ!」
「…え!?」
衝撃的なことを言われて驚きの隠せない俺と、驚く俺を見ながらもニコニコと笑顔で笑う二人。
雛乃本人すら気づいていない俺の気持ちに、この二人は気づいているのだろうか。
「あ、あの…」
「あの子は鈍いから。押していかないと気づかないかもしれないわよ」
やっぱり!俺の気持ちに気づいてるんだ!
でも確かに雛乃は鈍い…それに無防備だし…
「そうだぞ伊澄くん!鈍感娘を押し倒すんだ!」
「え、ちょっ!なに言ってるんですか亮司さん!」
自分の娘を押し倒せなんて言う両親は亮司さんぐらいだよ、きっと!
「雛乃は鈍いけど、無意識に伊澄くんを求めてるはずよ」
「………、」
「これからも雛乃のこと、よろしくね」
親公認
(伊澄くん泊まってくだろ!父と一緒に寝よう!)
(あらダメよ。伊澄くんは雛乃と寝るんだから)
(え!?あ、あの…!?(どこまでが本気か分からないよ…!))