白い猫又
□一. 夜行
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裏会実行部隊「夜行」本拠地へと続く山道。
ここに、鼻歌まじりに歩く少女が一人。
「♪〜♪〜」
金茶色のツインテールを揺らしながら鼻歌をうたい、夜行の本拠地へ向かって歩く少女。
その背中にはパンパンに膨らんだ白いデイパックを背負っているが、足取りは軽い。
(「あ……」)
少女は前方によく見知った人影を見つけ、そちらへ駆けていく。
「細波さん!」
「ん?」
こちらも大荷物の男性――細波慧が声をかけられ振り向くと、
そこには数年前に夜行を離れた教え子の少女――真白優が細波ほどではないが大荷物で、ニコニコと笑いながら立っていた。
「こりゃあ驚いた……久しぶりだな。優。」
「はい!お久しぶりです!」
細波が目を見開いているのを見て、優は楽しそうに目を細める。
「その大荷物だとあれか?身内との話はついたのか?」
細波にそう聞かれた優は先ほどとは打って変わって少し暗い表情で話しだした。
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