neta
□ハッピーパルスで女に戻る
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サイズの合わないブカブカの服に、頼り無く細くなった指。視線を落とせば、胸元には女性的な膨らみ。いつもより地面が近いし、短かったはずの髪がさらりと肩からこぼれる。
前を見れば目線の近くなったナギが、その大きな目を零れんばかりに見開いて俺を見ていた。
「由貴なの……?」
「……うん。でもいったい何が……」
身体の変化はST☆RISHの歌を聴いてから、だ。
相談しようにも瑛一や綺羅は謎の恍惚状態で話にならない。
「いったいあいつら、由貴に何をしたの!?問いただす!」
「待って!何が起こったのか、あいつらにも解らないでしょ。
……しばらくは、様子を見る」
「はあ!?由貴はそれでいいワケ」
だって元々は女だし、という事が言えるはずもない。
なのでそれとなく話を逸らさせてもらう。
「ナギは、俺が女だとイヤ?」
「イヤなわけないでしょ!むしろっ……」
そこまで言ってナギはハッと口を押さえる。
「え…むしろ?」
「〜〜〜っ」
口に手を宛がったまま(まるで女子のように)赤面。しばらく声にならない音を発したかと思うと、私に向かって手を伸ばした。肩に手を置いて、ぐいっと引っ張る。前のめりになった私の耳元に、愛らしい声が囁く。
「だってすっごく、可愛いから」
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