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□ST☆RISHと鉢合わせしたHE★VENS(アニメ軸)
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ああ、いけない。
溜め息を吐きたくなったが、堪える。マイナスの感情を面に出さないようになったのはアイドルとして自覚するようになったからか。
しかし今注視すべきはそこではない。――俺たち、HE★VENSの行く前に現れたST☆RISH。

あちらが俺たちをどう思っているかは別として、こちら(というか瑛一とナギ)は一方的にST☆RISHを敵視…否、見下している。
オンリーワンよりナンバーワン、王者は自分一人でいい。常にそんな考えの奴だから、現れた障害を疎ましく思うのは当たり前だろう。
……問題なのは、ナギや瑛一がその高飛車っぷりを全く隠そうとせず、剥き出しにすることだ。
だからこそ直接ST☆RISHに遭遇することは避けたかった。絶対、百パーセント、確実に失礼な事を口にするに違いない。

しかし俺たちは出会ってしまった。
握手に見せ掛け手を叩く、という最悪な第一印象を植え付けて。



「ナギ、ストップだ」

ナギが四ノ宮那月の手をはたいたところで手首を掴み、それ以上を牽制する。

「由貴!」

なんで止めたの、と言いたげな非難するような声音。手を解放してやり、肩を小突く。

「お前、このままだともっと失礼な事を口走ると思って。
僕たちに勝とうなんて百年万早い、とかね」
「むぅ……」

どうやら図星だったらしい。

「うちのメンバーがすまない。手は大丈夫?」
「はい!心配してくださってありがとうございます」

いい笑顔だ。四ノ宮は気にしてないようだが、横からずいと出てきた少年…たしか来栖翔といったか。彼は納得していないようで。

「お前!」
「キャー、コワーイ!
そんな簡単にムキになっちゃうようじゃ、ホントに百万年早いよ。僕たちに勝とうなんて。
ね、綺羅?」
「……ん」

頷いちゃうのかよ。お前も敵視組かよ、中立派だと思ってたのに!
来栖が抗議の声を上げ、ナギがさらにそれを煽る。あーあー…。

「そのくらいにしておけ、ナギ」
「瑛一ナイス!」

止めに入った瑛一に思わず称賛を送る。
これで厄介事は、


「ねぇ、キミはマネージャー?」
「次はナンパか。良いからもう行こう、ナギ」
「だってさー、気になるじゃん。……え?作曲家なの?
じゃあ、僕らの新曲を作ったのってキミ?」

それを聞いた瑛一が、キラリと眼鏡を光らせる。

「へえ…。こんな娘があの曲を書いたとは」

ヤバイ。瑛一の好奇心が刺激されてしまった。
瑛一はあの曲を甚く気に入っていたから、こうなると簡単に引き下がらないだろう。
ST☆RISHの作曲家を止めて俺たちの専属になれ、なんて言いそうで……。

あーあ、俺もう知らねっ!





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