neta

□一部分原作沿い(ヤン)
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激しすぎる車の運転。右に左に激しく揺らされて平衡感覚は狂ってしまった。簡単に言うと、車酔い。
ぐったりと前方座席の背面に寄り掛かる。背もたれに寄り掛かりたいのだが、私はいま婦人の席を開けるためにウェンリーの膝上に座っている。つまり背を預ける=ウェンリーに寄り掛かる、という屈辱。膝上にどっしりと座る訳にもいかず、体重を掛けすぎないよう気遣っているので不安定さに拍車が掛かる。
そんな私に気づいたエドワーズ婦人が不安げに覗き込んできた。

「あなた、大丈夫?」
「すみません、お見苦しいところを。私は大丈夫です、婦人こそ大変ですのに、…ぐ…うぇえ……」
「おやおや、まるで借りてきた猫の様じゃないか。いつもの覇気はお出かけ中かな?」
「うるさ…元はと言えば無茶に婦人を奪還しようとするから…あんまり喋らせな……うあえ…」
「こりゃ、ずっと車に乗せといた方が可愛いかもな」


頭を軽く叩くように撫でられる。
それを払う気も反論する気も起きず、それよりもひたすらに、早く足を地につけたいとばかり願っていた。








(第十三艦隊誕生にて、ジェシカ・エドワーズ救出時)







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