neta

□サイコパス:1
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――寝ち…っ…た、か。
波間でたゆたうような意識を認識する。自我が起床し、遅れて肢体にじわじわと感覚が戻ってくる。聴覚が、甲高い機械音を拾った。目覚まし時計のような、呼び出し音のような。

「(…うる…さいな…)」
『佳月紗九さん おはようございます。ご気分はいかがですか?』
「…ぅ…ん…?」

機械的な女性の声に瞼を薄く開く。滲んだ視界には、白しかない。…私の部屋ではない。
指をさ迷わせると、ガラスが私と世界を遮断していることが判った。カプセルという言葉がぴったりくる、狭い場所の中だった。

「…なに…これ」

呟くと同時に、空気が抜ける音がしてガラスがスライドした。
身を起こす。少しだるかった。
異様なぐらい広く白い部屋。しかし有るのは私が入っていたカプセルだけ。私が出てくるのを待っていたらしい、白衣を纏った医者らしき青年が微笑む。

「佳月さんだね。ああ、そのままで構わない。無理はしないで」
「あの、ここは…」
「ここは病院だ。君は事故に遭って長い間眠っていたんだよ」
「長い間…?どれくらいですか?」

医者が口を開く。いやにゆっくりな口の動きに、心がざわりと騒ぐ。

「百年だよ」













(目が覚めたら百年後だった話)











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