neta

□結局は(?)
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電車内でだれかに寄っ掛かられた場合、私は邪険にしないようにしている。疲れていたり、眠たいなら何かに寄っ掛かった方が楽なのだから。私で良ければいくらでも支えになろうじゃないか。
………しかし今回は“寄っ掛かる”レベルを越えていた。肩枕、から滑り落ちていわゆる膝枕の状態になっているのである。しかも異性。さすがにこれは周囲からの目が恥ずかしいぞ。
大きなスポーツバックの形を見るにテニス部なんだろう。運動部がハードな練習をしているのは分かるが、頼む、起きてくれ。起きてこの状況に気付いてくれ。

祈りが届くはずもなく、周囲の訝しげな視線に晒されて困るのは私のみ。元凶と言えばすやすや眠りの中で、満足そうな横顔が見える。

その寝顔だけでも羞恥が煽られた甲斐があるものだが、せめて、私の最寄り駅までには起きて欲しいな。







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