neta
□ハッピーエンド(基山)
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さんざん世間を騒がせたので、今更言い出せなかった基山君(のS/B時代)の話。
「基山君が宇宙人じゃない?あははっわろす」
俺の一世一代の告白を、彼女は笑って否定した。俺はと言うと、
「え、律佳、えっ」
あんまりに爽やかに否定されてしまったから、らしくなくうろたえることしかできなかった。え、わろすってなに?笑えるってこと?
「なんでオロオロしてるの?そんなに驚くこと?」
「いや、だって律佳…」
「変なの」
小首を傾げた律佳も可愛い…じゃなくて!
「律佳は…俺の言うこと、信用できないかな」
律佳の視線から逃げるように下を向く。律佳は何も言わない。静かな沈黙が気まずい。律佳のことが好きで、律佳には隠し事をしたくなかった。だから、本当のことを話そうと決めた。
君に嘘つきと罵られてしまうかもしれない。そうなったら嫌われてしまう。そう思うだけで心臓が引き裂かれる思いだった。
それでも話すと決心したのに。この反応はあんまりじゃないか。嫌うどころか、信じもしないなんて。
「…っふ」
「え、」
「あはははは!基山君、ふふっ、勘違い、して…」
「律佳……?」
予想外な、心からの可笑しそうな笑い声。そこには腰を折って大げさなんじゃないかってくらいに笑う律佳の姿があった。
「基山くんっ、あのねえ」
律佳は背筋を伸ばして指先で涙を拭いながら、
「私、そんなこととっくに知ってるよって意味だったのに」
「え……」
それに、と律佳が言い添えた。
「気になる子のことなら、知っておきたいしね」