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□狼に変わる夜(アスベル)
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「俺は、お前を守りたいんだ」


…それってプロポーズ?
下手すれば告白の台詞とも取れる言の葉をさらりと吐いてくれたのは共に世界を救う、なんて壮大な計画の仲間の一人アスベル・ラントその人だった。

真夜中の、宿屋の薄暗いベランダ。今さっきの甘い台詞、ふたりきり。
設定としてはこの上なくロマンチック乙女ゲームなのだけれど、誤解しないでいただきたい。彼はそのようなピンク色な事は全く想定してはない。なんてったって彼はチーム一の堅物。両想いだとか告白だとかの浮いた話題を期待しても無駄だということは今までの経緯で散々分かっているはずなのに、心臓は早鐘のように鳴っている。
…そりゃあ、いくら鈍いハイパー天然タラシだったとしても、こんな格好良い人にこんなこと言われたら溜まったもんじゃない。イチコロってやつだ。
ちなみに今の台詞はソフィやシェリア、ひいてはヒューバートにまで言っているのを私は知っている。

「い、嫌だったか?」

黙っていることに不安になったのか、きまりが悪そうに眉を下げた彼。はっと我に返り、慌てて腕を振った。




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