neta
□ぷよぷよ長編:1(シグ)
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「ん………」
うっすらと。眠気に負けそうな目蓋を少しだけこじ開けると、いろいろと可笑しいことが感じてとれた。
目覚まし時計が鳴っていない。
部屋の空気。
シーツの感触。
まだモヤがかかった視界の、色。
それが違った。
聴こえるのは小鳥のさえずり。
爽やかな外の空気。
私が身体を預けているのは、ゼリーっぽい何か。
眠気に促されて大きなあくびを一つ。しょぼしょぼしていた目が潤って、ゆっくりまぶたを開く。鮮明になっていく視界。そこに、
「あ、おきた」
「……う…」
水色と赤の少年がいた。
おっけ、夢だ。もういちどゼリーっぽいところに身体を押し付けた。
「おやすみなさい…」
「おねえさん、またねるの?」
「ゆめだから…」
「ゆめー?」
「うん…」
少年のスローペースな喋り方に、睡魔が侵食してくる。目蓋が視界を閉ざしきる最後に見上げた視界には、やっぱり不思議な色合いの少年がじっと私を見ていた。空とルビーのオッドアイ。こんな綺麗なものを見せるとは、やるじゃん、私の脳。不思議だったけれど、良い夢かもしれない。目が覚めた時に忘れていないといいなあ。
「きれいだね…、しょーねん…」
柄にもなく思ったことをそのまま口にしたのは、夢だとたかを括っていたからで。
その言葉を発したのを最後に、私はそっと深海に意識を置いてきた。