neta

□ストーリーエンドはまだ先の話(黒子)
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バスケシューズのまま練習を抜け出して、体育館から離れようとする彼女の背中を追って、名前を呼ぶ。

「……黒子くん」

「練習、見に来てくれたんですね」

「まあ、…暇だったから。帰り際少し覗いただけなのに、よく気がついたね」

練習はいいの?と促す彼女に、僕はずっと頭の中で繰り返していたセリフを言葉にする。
彼女が練習を見に来てくれたら、言うつもりでいた。よくある小説の、けれど、必ずハッピーエンドに繋がるセリフ。


「――僕、次の試合、絶対勝ちます。だから…そうしたら、」

「次の試合だけ?」

「えっ……?」

「次の試合だけじゃなくて……黒子くん。」

さあ、と春風が周囲をざわめかせて彼女の髪を揺らした。
彼女が微笑んで、試すように優しく口にする。

「夢はでっかく、全国制覇……じゃない?」





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