neta

□下町兄貴となんちゃって貴族令嬢(ユーリ)
1ページ/1ページ




(もうちょっとまともな内容にしようとして力尽きた)



気に入らなかった。義父の言うことやること喋る声笑い声。ものすごーく気に入らなかった。
だから出ていってやったのだ。
絶対に行ってはいけないと言われていた、下町に。



「…で、オレんとこ来たと?」
「そーなんです。さすがフレンのお友達。理解が早いや☆」
「…おまえ、ホントに貴族か?」

数分前に許可も得ずに他人様の部屋に上がり、あげく他人様のベッドで堂々あぐらをかいている少女に隠さずにため息が漏れる。そいつが纏っている、彩り上品なしなやかな服(おそらくは上等物だろう)がだらしなく皺寄っていた。女はあぐらのままぐいとこちらに顔を寄せる。

「あーのーねっ、元は貴族なんかじゃないんだってー」
「そうなのか?」
「そー。結構最近までこんなかんじのトコに住んでたよ。
でもなんか知らない貴族の人がさ、『亡くなった妻に似ている!』なんて言ってほとんど強制的に貴族のお嬢さん入りさー」
「へえ。そりゃ窮屈だったな」
「そーなの!テーブルマナーとか一日中ドレスとかかったるいったらありゃしないわ。
気にかけてくれたフレンくんが『困ったら僕か下町にいるユーリに相談するといい』みたいなことを言ってくれてね」
そいつは顔の横で手を擦り合わせて、マジ君ら紳士的!と続けた。

「相談すっ飛ばして行動に移してんじゃねーか。つか、人を勝手にお悩み窓口にすんなっつの」
「えー、いーじゃん助けてよー困ってるんだからー」
「だから厄介事はフレンに頼めって…フレンも人を勝手に引き合いに出すか?普通」
「フレンくんは親から逃げるのとか手伝ってくれなさそうなんだもん」
「なんでオレなら手伝ってくれると思ったわけ」
「下町在住だから?フレンみたくガッチガチにおカタくないかなーって」
「適当だな」
「あとは、なにげに困ってる人見捨ておけないタイプとみた」
「オレが?それはフレンだろ」
「だって、無理矢理押し入って来た小娘をなんだかんだ追い出さないしー」

ね?とそいつはなんとも人懐っこく快活に笑う。なんとも良い笑顔だったもんだから、返事の代わりに溜め息を吐き出した。






[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ