Neta

□仮初めな平和
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渚カヲルは気まぐれだ。
結構な頻度で学校に来なかったりする。

授業中でも空を遠く見上げていたり、小さく鼻声を歌っていたり、宙でピアノを弾いていたりのびのびとしている。まるで、学校なんて縛りはないと云うように。
端から見たら電波な行動。でもそんな行いも顔立ちが整っているから周りの女子は陶酔したような目で見ていたりする。かく思う私も様になっていると思うから、顔立ちが整っているひとは得だと思う。
先生は言わずもがな、セカンドインパクトの話を自己満足のようにひとりで話し続けていて、騒がしくなければ注意もしない。

私、学校に来ている意味あるのかな。
ぼうっと何もない黒板を見つめてそんなことを考えた。こんな化け物が襲ってくるような街で、世界はまるで、今までも、これからも平和だというように日常ヅラをしている。特に私も脅かされる事なく授業を受けている。ズレてるよなあ、やっぱり。

そんな“なんちゃって平和”を私たちに与えてくれているらしい碇シンジ君へ視線を向ければ、彼もまた、頬杖をついて遠くへ意識をやっているようだった。



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