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□真夏の夜の夢
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クーラーがガンガン効いてる部屋でゴロゴロしていたら、悪鬼のような顔をした母に、買い物に行ってこい、なんて言われた。
お風呂に入ったあとだし、夜の九時が回っているから嫌だと言ったのだが、かかあ天下のうちのヒエラルキーは覆らずこうして使いっぱしりをしている。
マンションの一階にあるコンビニにて、わたしは明日の朝ごはんである食パンと飲み物、家族の人数分のアイスをカゴにいれた。
頭の中で計算する。
あと三百円くらいは何かが買える。
使いっぱを頼まれる際、余ったらそのお金でなんでも買っていいよと母の言葉を思い出す。
どうしようかなぁなんて悩んでいたら入り口の自動ドアが開いた。
「名前」
『あ、佳主馬くん』
同じマンションの住人であり同じクラスである佳主馬くんがコンビニに入ってきた。
「こんな時間になにしてんの」
『パシリ』
「は、お似合い」
『ほっとけ!』
佳主馬くんはわたしを嘲笑した後飲み物コーナーに歩いていった。
三百円………
よし、牛乳プリンにしよ。
コンビニの中を見回すと、もう佳主馬くんはいなくなっていた。
まぁ暑いしさっさと帰るよね。
…ちょっとガッカリした自分にびっくりした。
な、何故。
コンビニを出てフロントを通ろうとした。
「名前」
『え、あ!か、佳主馬くん!』
「何そんなにどもってんの?」
くすくす笑っている佳主馬くんを見て顔から火が出そうなくらい恥ずかしくなった。
「あのコンビニでたむろしてたら管理人に注意されるから」
『え?』
「ちょっと話ししたいな、なんて思ったんだけど」
『へ?え、っと、あ、う、うん、いいよ』
マンションのフロントは夕方五時くらいまでは管理人が掃除やらなんやらしていて人の目があるけど、それ以降は無人になる。
実質二人きりで…。
「なに、考えてるの?」
『え、っ!』
右側にいた佳主馬くんが立ち止まったわたしの顔を覗きこんできた。
『……あ、あの、』
「…変なこと、考えてる?」
佳主馬くんはイタズラが成功した、みたいなしてやったりな表情をしていた。
真夏の夜の夢
(か、考えて、ないから!)
(はは、知ってる)
(え?、なん、で)
(名前分かりやすいんだよ)
(そうなの?)
(そこが可愛いんだけど)
(え?!可愛っ?!)
(………今日名前に会ったの、偶然じゃないんだよ)
(!!!)
………
初短編佳主馬です!
あぁ…なんか変な終わりかた…