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□ゲーム
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『陣内先輩、わたしと対戦してください』


「どうせ負けるよ?」


『………っ、そんなことありません!今度こそは!』



わたしの仕事場での先輩にあたる陣内理一先輩は、職場でも有名な無敗の王。

じゃんけんも強い、チェスもお手のもの、特に花札なんて手加減をしてもらっても皆ボロ負けしてしまう。

今までじゃんけんやチェスや花札ではあまり負けたことのなかったわたしがこうも全敗するなんて。

一度でもいいからあの不敗神話保持者の陣内先輩に勝ってみたい…!
その願いを叶えるべく今日も対戦を申し出た。




『対戦の内容は先輩が決めてください』


「おや、いいの?まぁ俺、どっちにしろ勝っちゃうけど」


『くっ』



余裕綽々な先輩。
ニコニコ笑いながらわたしに近寄りよしよしと頭を撫でられる。



「うーん、じゃあ…思考を変えて名字が俺に惚れたら負け、とかは?」


『なっ?!』


「どう?」



にやり、としたり顔で見つめられる。



『…っ、はい!受けてたちますよっ!!』


「じゃあ早速。名前、今夜空いてる?」


『へ』


「不肖の義弟がいい店を教えてくれてね」


『はぁ、いや、あの』


「俺の携帯の番号、知ってるよね?」


『え、あ、はい』


「終わったら電話して?今日名前は確か会議があったはずだし」


『な、名前』


「バイクに乗れる?怖くない?」


『乗れます…けど』


「なら良かった。じゃあ帰り、待ってるから」



にっこりと微笑まれ、無意識に頷いていた。






ゲーム



(あと俺のことは理一って呼んで)

(名前で、なんて無)

(理って言ったら名前の負けね)

(り、…理一先輩)

(はい、よくできました)








…………

主人公は理一さんにかまってちゃんでした。
いつもは押し押しですが、逆に相手に押されると弱い、みたいな。

理一さんはもとから押すつもりでした。




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