恋言葉

□序章
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[雲雀恭弥視点]


今日は入学式。

今年は新入生が多いらしく、外が五月蠅い。

まあ入学式何て毎回五月蠅いけど。

入学式が終っても学校に残っている新入生は少ない。

大体の生徒は教室へ向かい、教師の話を聞き終えたら直ぐに家に帰り、其の後は友人等と遊びに行ったりするんだろう。

だから、珍しいと思った。

今日は並中の桜は満開で、絶好の入学式日和となった事だろう。

だけれど桜に眼をくれる者等居もせず、入学式が終った後なら尚更そうだろうと思っていた。

応接室から出て、桜の咲いている校庭の片隅へと向かった。


「凄・・・」


芒色の髪の毛。

小さな背。

男にしては高めの声。

桜が咲いている。

ただ其れだけで嬉しそうに笑みを浮かべていた。

自然と、声をかけていた。


「桜、好きなの?」


少し驚いたように彼は振り向いた。

本当に男なのか、と問いたくなるほど大きな眼。

其の時風が吹き、桜の花弁が舞った。

髪の毛やら顔やらに当たるから、少し鬱陶しい。

彼の方を見ると、何故か少し赤くなっていて。


「何」


思った通り、其のままを声に出した。

もしかしたら、少し睨んでしまったかも知れない。


「い、いえっ!何でもありません!」


少し怯えたように彼は返事をした。


「そう」


素っ気無く返事をして、校舎へと向かう。

・・・本当に、居るんだ。

あんな顔の男。

少し興味が沸いた。

だけど、今日は風紀委員の仕事が忙しい。

どうせ其の内分かるだろうと結論を出し、机の上にあった書類のことを考えながら、応接室へと向かった。



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