小説(レンリン)

□tell me why(リン視点)
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いつからレンを好きだったか、なんて覚えていない。
幼いころは、素直に弟として愛していた。
自分と同じ顔を持つ、私の片割れ。
その存在は私にとって自慢だった。
何をするにも、どこに行くにも一緒。
そんな関係が、私の中で崩壊したのは、急な交通事故で両親が亡くなったときだった。






「お父さん、お母さん・・・っ」


白い箱に入れられた二人の前で、まだ10歳だった私は泣き崩れていた。

すぐに帰ってくるからね、と言って出かけていった両親は、永遠に帰らぬ人となったのだ。


「リン・・・」

泣き続ける私を、レンはただ心配そうに見つめていた。
レンは泣かなかった。
いや、本当は私の居ないところで泣いていたのかもしれない。
でも、私の前では絶対に泣いたりしなかった。
だから、私も泣いてはいけないと思った。
でも、こみ上げてくる涙を止めるには、私はまだ幼すぎた。


「置いてっちゃやだぁ・・・!!」


どんなに泣き叫んでも、優しかった両親は、もうなぐさめてくれはしない。
これからどうやって生きていけばいいのか、
それすらわからなかった。


「リン」
「私も、死にたいよ・・・」
「リン!!」


怒ったような大きな声に、びっくりして振り返ると、いつの間にかレンに抱きしめられていた。
そして、涙も止まっていた。


「これからは、僕がリンを守るから・・・だから、泣かないで、リン」
「・・・レ、ン?」
「僕が、リンを守るから・・・」
「・・・ほんと?」
「本当。だから、死にたいなんていっちゃだめだ」
「・・・うん・・・」


姉の私が、本当はレンを守らなきゃいけないのに。
そう思いながらも、レンの力強い言葉に、私は無意識に頷いていた。
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