小説(朝菊)
□ライオン
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「はくしゅっ!」
冷たい空気に鼻をくすぐられて、アルフレッドはくしゃみをした。
12月のはじめ。
息は白く染まり、手は手袋をしていても冷たく冷える。
「もー・・・なんでこんな寒いんだい?早く冬眠したいよ・・・」
「おやおや。冬眠なんてもったいない。冬もいろいろと楽しみがありますのに」
鼻をすすりながらぶつくさ言うアルフレッドに菊はなだめるように言った。
しかし、アルフレッドはますます頬を膨らませる。
「君は四季を楽しみすぎなんだぞ。冬はベッドにこもるのが一番さ」
「でも、あまりこもりすぎるのも良くありませんよ。私の家に来ますか?こたつもありますし、この間仕入れてきた新作のゲームもありますよ」
「それ本当かい!?」
菊の言葉にアルフレッドは二つ返事で行くと答えた。
こたつとゲームはアルフレッドのお気に入りの品なのだ。
「では、お茶とお菓子をご用意して待っております。・・・ちゃんと宿題を終わらせてからきてくださいね」
「I see!じゃ、また後でね、菊!!」
アルフレッドは菊に手を振ると、家に一目散に帰った。
早く宿題を終わらせて彼のところに行かないと。
今のアルフレッドの頭の中にはそのことしかなかった。