07-GHOST
□秘密
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『ミカエル』
ミカエル?
誰の名前かはわからないが、自分をそう呼んでいるのはわかった。
夢の中の俺はまだ子供だった。
オレをミカエル、と呼んでいるその人に手を引かれてオレはいつも同じところにいる。
高い天井、煌びやかなステンドガラス、壁に掲げられた十字架。
そう。俺はなぜか教会にいた。
ひどく懐かしくて、泣きたくなるのはどうしてだろう。
『また、いつか会えるさ』
顔がはっきりと見えないせいで、その人がどういう表情をしているのかはわからない。
でも、その声はとても悲しそうだった。
繋いでいた手が離れる。
その人は振り返らずに、オレから離れていく。
どうして?
あなたはずっと傍にいると言ってくれたじゃないか。
置いていかないで。
私を、一人にしないで・・・
俺は小さな手を必死で伸ばした。
でも、その手は届かないまま、今日もそこで夢は途切れてしまった。