小説(朝菊)
□Crystallize
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いつだったか。
気まぐれである日地上に降りてみた。
気の向くままに歩いていたら、もう少しで
消滅する国を見つけた。
度重なる内戦や、隣国との戦争のせいで、城も、城下も、人も、みんなぼろぼろになっていた。
人というものは愚かだ。
何度同じ過ちを繰り返しても学ぶことをしない。
廃墟のような城の中を歩いていたら、死にかけている子供を見つけた。
助けようとは思わなかった。
昔から、人に関わるとろくなことが無い。
それに、どうせ人とは死ぬものなのだ。
だから、助けたところで運命は同じ。
でも。
なぜか放っておけなかった。
その宝石のように輝く緑色の瞳を見た時、
興味がわいた。
死にかけて尚、その瞳は強い光を放っていた。
少しだけ、この子の未来を見てみたいと思った。
『まだ、生きていたいですか?』
その問いの答えは決まっている。
答えは、是。
『生きたい・・・!』
『ならば、あなたに命を授けます。
あなたのなすべきことをなさい』
今なら言える。
それは大きな過ちだったと。
そして、その過ちを起こした代償に、私は光から引き離されることになる。
その時はまだ、私はそのことに気付けずにいた。