小説(朝菊)
□Blue Ocean
1ページ/6ページ
人間に恋をしてはいけない。
いつもそれを当たり前だと思っていた。
人間に恋をする人魚は愚かだと笑っていた。
悲しい悲しい昔話も、嘘だと思っていた。
でも、今ならわかる。
人間に恋をしてはいけない理由も、嘘ではない昔話の教訓も。
人間に恋をして海の泡になってしまった人魚姫。
その人魚姫の気持ちが痛いほどわかる。
だって、私も愚かな人魚姫だから。
物語と同じ道をたどり、もうすぐ海の泡となって消えてしまう。
出ない声を持って、今あなたに伝えよう。
・・・さようなら、愛しき人。