冬に咲く華

□秘められた魅力
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ツナSide


「まったく…。」


試練が終わった帰り道。


ユリンさんの件で千絵はすこぶる機嫌が悪かった。


そんな彼女を見て、ちょっと思った。


「千絵も、普通の女の子だね。」


「え?」


ビックリしたように俺を見る千絵。


「だって、俺達と同じ様にイライラしたり不安になったりしてるから。千絵に親近感わいたってゆーか…。」


「あ、それ俺も思ったのな!千絵ってすげー強いし、しっかり者だから住む世界違うなって思ってたんだぜ!」


「確かに、山本の言う通りだ。極限に、俺達となんら変わりが無いな!」


「おい!!テメェ等の脳と千絵さんの脳を一緒にするなっ!」


そんな俺達を見ていた千絵はふわりと笑った。


「ありがとう…。」


「「「「?」」」」


「私…今までヴァリアーとして暮らしてたからずっと殺伐としたところにいたの。」


「千絵…。」


「もちろん、ヴァリアーの皆がいたからそんなに苦じゃなかったし。むしろ守ってもらったりもしたの。」


千絵の表情は今まで見た中で、一番穏やかで優しいものだと俺は思う。


ヴァリアーって、千絵には甘いと思ってたけどやっぱりそうなんだな。


「だけど…みんなみたいな普通の人と接する自信がなかったんだよね。」


苦笑いをする千絵の手を、俺はいつの間にか掴んでいた。


「ツナ…?」


「大丈夫。」


「え?」


「なんか…よく分からないけど…千絵なら大丈夫だよ。」


「…そっか。」


最初会った時は、敵同士だったけど…


やっぱり、千絵は優しい人だし


ヴァリアーも根は良い人達なんじゃないかな


って、俺は思った。




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