冬に咲く華

□闇色の過去
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16年前…。



日本の某所で琴塚千絵は生まれた。



日本人離れした美しい蒼い瞳。
右手に握られたリング。



母、万音は思った。



”イタリアに…ボンゴレに…帰ろう”と。



しかし状況は違った。



琴塚財閥、現当主にはもう一人妻がいた。



その妻に生まれたのが琴塚青蘭だ。



琴塚の当主は青蘭の母を溺愛した。



そして…千絵の母はただボンゴレとの関係をもつためだけに残した。



もちろん、それは千絵とて同じ。



ボンゴレに連絡されるのを恐れた琴塚の当主は万音と千絵を監禁した。



食事等は定期的に与えた。



万音はいつでも逃げられるように幼い千絵に日本語、イタリア語、英語を教えた。



しかしボンゴレの事は話さなかった…否、話せなかった。



千絵は成長してようやく物事の判断がつくようになった。



自分の置かれている状況。



母と父の関係。



そして。



母が居ない時に受ける父からの暴力。



千絵はじっと耐えていた。



生まれながらの運動能力を生かして、ふるわれる暴力を最低限に抑えつづけた。






しかし、そんな千絵には辛すぎる試練がやって来た。





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