冬に咲く華

□2つの炎
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ーーーPM10:30

もうすぐ、大空のリングの戦いが始まる。


だが、千絵は姿を現さない。


幸いなことに、雪のリングはこの大空戦には参加しなくて良い。


その時。


「みんな…。」


少し疲れた様子の千絵がフラリと現れた。


「「「「千絵!?」」」」


事情を聞いていたルッスーリアを含めたヴァリアーのメンバーは少しだけ驚いた様だ。


「おせぇ。何してた。」


「……何も。ザンザス。一つだけ言わせて。」


「あ?」


「…九代目は貴方を本当に愛していた。それは今だって変わらない。」


それだけを言うと、千絵はザンザスに背を向け、歩き出した。


「ザンザスに辛い思いをさせまいと、九代目は貴方を守ろうとしたんだと思う。さっきも…ずっと貴方に謝っていた。」


「!?」


「九代目の治療をしてきた。助からないかもしれないけど…貴方と同じ様に私も彼に助けてもらったから。」


千絵の頬に一筋の涙が伝う。


すると、現れたチェルベッロに強制的にザンザスと引き離された。


「…カスが。」


ザンザスは吐き捨てる様に言った。


だが、そんな彼の表情は少しだけ悲しそうだった。





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