冬に咲く華

□私から私へ。
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大方、ボックスにも慣れてきた。



アイビスとも意志疎通がしっかり出来るようになったし。



氷月のバージョンアップした技もいくつかマスターした。





そんな日頃…。





スクアーロが私を部屋に呼んだ。



部屋の前に立って息をつき、ドアを叩いた。



「…スクアーロ?」



「ん?あぁ゙…入れぇ゙。」



初めて入ったスクアーロの部屋。



過去に居る時に入ったことなんて無いから。



黒を基調として必要最低限のものしか置いてない部屋には暖かさが感じられない。



でも…。



ふと視線をずらせば、そこにはいくつもの写真立て。



銀のフレームだったり、白のフレームだったり…。きっとスクアーロと私の色だからかな。



決して温かな色では無いが、雰囲気がほんわかしていた。



「スクアーロと私…?」



「そうだぁ゙。」



後ろにスクアーロが立っていた。



「これはなぁ゙…。」



一つ一つ、写真の説明をしてくれる。



同じ長期任務の後に撮った写真だとか。



バレンタインの時、とか。



スクアーロが風邪をひいたときにふざけて私が撮った写真とか。



ツナの就任式…つまり、私が正式に雪の守護者に認められた時、とか。



いろんな私とスクアーロがいる。



笑ってたり、泣いてたり。



「…お前は、敵にやられたんだぁ゙。あの時は俺も泣いたぜぇ゙、流石に。」



「スクアーロ…。」



「お前は死ぬ前に、また会えるって言ってたんだぁ゙。」



「え?」



「本当だったんだなぁ゙。」



そう言って、優しく私を抱きしめる。



「もう…居なくなるなよぉ゙…。」



「愛してくれてありがとう、スクアーロ。」



「ずっと愛しつづけてるぜぇ゙…千絵。」



体が震えてる。



スクアーロ、泣いてるの…?



ねぇ…泣かないで?私はここにいるよ?



「スクアーロ…なんで泣いてるの?」



「嬉し泣きだぁ゙…。」



「ふふふ…子供みたい…。」



「お前の方が子供だぜぇ゙?」



「っるさい…。」






憎まれ口を叩くほど、貴方を愛してる。






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