冬に咲く華
□2つの炎
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我に返った千絵はザンザスの元へと走り出す。
「しっかりして、ザンザス!!」
「…千絵……分かって…た…のか…。」
「…分かってた…。でも、こんなこと言えない…。ザンザスを…これ以上…傷付けたく無かった…。」
千絵は膝をついてザンザスの右手からリングを取った。そしてその手を握る。
「私は…。確かに、ザンザスに十代目になってほしい…。だって、私が心を許した最初の人だもの…。」
「…。」
「でも…十代目じゃなくても、私はザンザスだけがボスだと思ってる。たとえ、何があっても昔交わした約束は忘れたりしない。」
「あれ…を…覚えて…やがったか…。」
「私…スクアーロ…ザンザス…。三人だけで決めた約束…。一生、貴方についていくと。」
「…あぁ。」
「雪の守護者になっても…それは変わらない。」
「…そうか…。」
右手に握りしめた大空のリングをツナに投げる千絵。
「ありがとう…ツナ。勝ってくれて。」
「…千絵ちゃん。」
「もう終わりにしよう…こんな戦い。」
これ以上、誰も傷付くことの無いように。
End