冬に咲く華

□2つの炎
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「ッ!?」


「生きてた…か…カス…鮫…。」


《俺は分かるぜぇ゙、お前が何故そこまでボンゴレ十代目に固執するのかがなぁ゙。》


「あ゙…?んだと…ッ!?」


《理由は…九代目と千絵だぁ゙。》


「千絵…ッ!?何故、彼女が関係あるんだッ!!」


《はっきり聞いた訳じゃねぇ゙。だが。九代目とお前は血が繋がってねぇんだろぉ゙?》

「九代目と…親子じゃない…!?」


《あの日…。お前が九代目に氷付けにされた時だぁ゙。あの場にはお前と九代目、それに俺だけでは無かった。あそこには…千絵も居た…。》


「……そう…だ…。」


《その時、薄れていく意識の中で千絵の泣き声を聞いて決めたんだろぉ゙?絶対に…もうあいつを泣かせたりしないってなぁ゙。》


「ハッ……。聞いて…やがったか…。」





その時。




「ザンザス!!!」




屋上から下りて来る影が一つ。


黒い長髪が揺れている。




千絵だ。




「ッ!?」


《な…なんで!?千絵ちゃん、あの赤外線をどうやって!?》


珍しく、本気で焦る青蘭の声。


《雪の体質だな、コラ!》


《そうだ。体にあたる有害なものとの”決別”の意識だ。使いこなせる様になったか、千絵。》


―――ドォォォォン!!


「ここから先は行かせねぇ!」


「悪いが、ツナの邪魔はさせねーのな。」


爆風と共に千絵の前に現れたのは、獄寺隼人と山本武だった。


「どいて。貴方達に構ってる暇なんて無いの!!早く行かないとザンザスがッ!」


「二倍ボムッ!!」
「時雨蒼燕流攻式八の型篠突く雨!!」


千絵は氷月を抜いて走り出す。


「お願いだから…邪魔をしないでッ!!」


―――ドドドド!!!


いくら、千絵が独立暗殺部隊の幹部でも男女の差はだいぶある。


しかも2対1ならなおさら勝算などなかった。


獄寺に片手を捕まれ、氷月を奪われた。


そしてその一瞬で山本に羽交い締めにされた。


「離してッ!!ザンザスのところに行かせて!!もう…同じことは繰り返したくないのッ!!!」


「「!?」」


「嫌………嫌…だよ……。離して…よ…ザンザスの所に行かせて…よ!!」





―――バキバキバキ!!





氷の塊が校庭の中心に突如現れた。


千絵の脳裏にふと浮かんだ8年前のあの出来事。


あの日も、こうして家光に羽交い締めされていたんだ、と気づいた。


「嘘だ…嘘…だ…。こんなの…ッ!!!」


千絵の体を触れていた山本はとっさに手を離した。危険を感じたからだ。


「返せ…ザンザスを…返せッ!」


白い炎が体から溢れ出す。


「ザンザス……!!!」







「大丈夫だって。」








そんな彼女を抱き寄せたのはベルだった。


「ベ…ル…!」


「リングは全部こっちの物だし。もう心配ねぇよ。」


「…うぅ。」


「泣くなって。俺、あの鮫に文句言われんの勘弁。」


そんなことを言いながらも。


しっかりと千絵の手を握るベル。


千絵の頬に堪えきれない涙が2、3粒流れた。


「なッ!?氷が…溶けていくッ!?」


「ボス、このリングはもうボスのだよ。」


マーモンがツナの手から大空のリングを奪い、ザンザスに投げる。


「……当然…だ。」





千絵はそこで気付く。





「だめ、ザンザス!!!!!リングをつけない………ッ!?」








そして、血を吐きながらザンザスは倒れた。







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