冬に咲く華
□それは必然の如く
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千絵Side
「確か…ここらへん。」
記憶をたよりに日本の街を歩く。
すれ違う人達に少し変な目で見られてるけど気にしない。
目指すはとある小さな丘。
母さんの眠る丘。
「あった…。」
丘の上にボンヤリと見える石碑。
近づいてみるとそこには”万音=Croford”と彫ってある。
母の名前だ。
「…ただいま、母さん。」
振り絞る様にして声をだす。
「元気に…やってるよ。」
体が震える。
「ちゃんと…食べてるよ。」
声も震える。
「……私、頑張ってるよ。」
頬に一筋の涙が滴る。
昔に置き忘れた、”寂しい”という感情が再び芽生えた。
「こんなこと…今まで無かったよね…。」
溢れ出した感情にふたなんか出来ない。
あとはもう流すだけ。
石碑の前に膝をついて泣く。
久しぶりだな〜…こんなに一生懸命泣いたの。
そう思うとまた涙が溢れた。
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