モンスターハンター 蒼風の導き
□序章 電光
2ページ/8ページ
「お、大きい!」
ハンターである以上、何度も大型モンスターと対峙してきたであろう彼女の口から、驚愕の声が漏れる。
「電狼竜“ジンオウガ”ですニャ!」
アイルーの声が彼女の耳に届いた瞬間、ジンオウガと呼ばれたモンスターが咆哮する。
周囲の木々がその咆哮に反応するように震える。
これだけ距離の離れた場所にいる彼女たちでさえ、背筋に悪寒が走るのを隠せない。
そしてそれは、更に大きくなる。
ジンオウガの体が、青白く光始める。
「何あれ?帯電、してるの?」
「超電雷光虫が発電しているんだニャ!どうニャるのか、わからないですニャ」
「考えるより行動!私が注意を引き付けるから、ミナトはあの人を安全なところまで護衛して!落ち合う場所は、わかってるよね?」
「了解ですニャ!ご主人さま。ご武運を、ですニャ」
お互いに笑い合い、彼女らはそれぞれの行動に移る。
彼女は一直線にジンオウガ目掛けて走り、ミナトは恐怖で身を硬直させている女性の元へ向かう。
「ふっ!」
最低限の動きで、背中に提げている大剣を引き抜き、勢いを殺すことなく体を回転させる。
大剣の重さと遠心力を使った攻撃は、見事にジンオウガの前足に命中する。
彼女の腕には、ジンオウガの前足の皮を裂き、肉を押し潰すいつもの感覚が伝わってくる。はずだった。
だが、実際に伝わってきたものは、それとはまったく別のものだった。
「なっ?!弾かれた!」
金属同士がぶつかり合う音がして、有りっ丈の勢いを込めた大剣が、後方へと弾かれたのだ。
予想もしていなかった事態に、彼女は足が縺れて尻餅をついてしまう。
咄嗟に大剣の刃を確認すると、刃毀れこそしていないようだ。
だが、攻撃が弾かれてしまったという事実は、消し去ることは出来ない。