小説ですよ〜
□流れ星にかける願い
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この町で一番星が綺麗に見える場所。それは、町外れにある小高い丘の頂上だ。
昼間は、たくさんのカップルでごった返しているが、さすがにこの時間には誰もいない。
当たり前だ。
今は、夜の10時。良い子は家でのんびりしている時間なのだから。
少し肌寒いが、耐えられない程ではない。
「…………今日も、見えないのかな?」
空を見上げたまま、俺は呟いた。
流れ星。
願い事をかけると、叶うという噂があるもの。俺はその流れ星に願い事をかけるために待っているんだ。
どんな願い事なんだ?というやぼな質問はしてくれるな。
言ってしまえば、効果がなくなってしまうかもしれないからな。
だが、今日で2週間目。一向に流れ星は現れてくれない。
「………なんで流れないんだよ。……くそ野郎」
悪態をつくが、流れ星は現れない。
頻繁に現れるものじゃないことはわかってる。だけど、2週間目だぞ。さすがに、一回くらいは流れてくれてもいいんじゃないのか?
満天の星空を見詰めながら、俺は大きなため息を吐いた。
早く流れてくれよ。
俺が、生きているうちに。