小説ですよ〜

□流れ星にかける願い
2ページ/16ページ


 この町で一番星が綺麗に見える場所。それは、町外れにある小高い丘の頂上だ。
 昼間は、たくさんのカップルでごった返しているが、さすがにこの時間には誰もいない。
 当たり前だ。
 今は、夜の10時。良い子は家でのんびりしている時間なのだから。
 少し肌寒いが、耐えられない程ではない。
「…………今日も、見えないのかな?」
 空を見上げたまま、俺は呟いた。
 流れ星。
 願い事をかけると、叶うという噂があるもの。俺はその流れ星に願い事をかけるために待っているんだ。
 どんな願い事なんだ?というやぼな質問はしてくれるな。
 言ってしまえば、効果がなくなってしまうかもしれないからな。
 だが、今日で2週間目。一向に流れ星は現れてくれない。
「………なんで流れないんだよ。……くそ野郎」
 悪態をつくが、流れ星は現れない。
 頻繁に現れるものじゃないことはわかってる。だけど、2週間目だぞ。さすがに、一回くらいは流れてくれてもいいんじゃないのか?
 満天の星空を見詰めながら、俺は大きなため息を吐いた。


 早く流れてくれよ。


 俺が、生きているうちに。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ