小説ですよ〜

□きっと何年経っても……
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「ごめんなさい。聞いてませんでした」
 素直に謝ることだった。
 男のプライド?情けない?そんなこと関係ない。これ以上、彼女をつけあがらせてはいけない。
 素直に頭を下げると、彼女は満足そうに微笑んだ。
 くそ。黙っていれば可愛いのに。
 そんな悪態は間違っても口にすることはない。そんなことをすれば、百倍以上になって返ってくるのは目に見えている。
「……まったく。考え事始めると周りが見えなくなる癖、どうにかした方がいいよ?私だから良いけど、本当に大切なときに大変なことになるから」
「うっ、わ、わかってるよ」
「本当かな〜〜?」
 ズィッと顔を近づけてくる。いつもの行動なんだけど、今日はやけにドキッとする。
 今の関係が気に入っているのは確かだ。これからも、続いてほしいと思っている。
 でも、一方でこのままじゃ駄目だと感じている自分もいる。キミと一歩進んだ関係になりたい。
 しかし、一歩進めば成功しても失敗しても今の関係はなくなってしまうだろう。
 ガキの考えだと言うことはわかっている。でも、俺はこの関係を崩したくない。
 俺の目の前から、この笑顔がなくなってしまうなんて、考えたくないんだ。
「……ほら、いくぞ?」
「えっ?どこに?」
「アイスだよ。食べないのか?」
「食べる!」
 冗談で言い出したことはわかっているが、たかが150円で笑顔が見れるなら、安いものだよな。
 
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