モンスターハンター 蒼風の導き

□第三章 狗竜再び
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 採取ツアーでのドスジャギィの狩猟から数日が過ぎた。
 相変わらず、ユクモ村には平和な時間が流れている。
 シアも、狩りに行かない日は素振りなどで汗を流した後、温泉に浸かったりのんびりと散歩をしたりと、のんびりとした時間を過ごしていた。
 かといって、何もしていないわけではない。
 採取ツアーで手に入れた素材を元に、双剣を強化することも忘れていない。
 加工屋のオヤジの話では、もう少し鉄鉱石があれば、違った武器も作れるようになるらしい。
 またの機会に。とだけ言い残し、シアは新たな武器の製作を断った。
 だが、武器だけでなく、防具を作るためにも、さまざまな素材は集めておいた方が良いだろう。これからの狩猟で、間違いなく新たな防具は必要になってくるのだから。
「あっ、シアさん!」
「ん?……あぁ、リナちゃん」
 考え事をしているときに話しかけられ、少しだけ反応が遅れるが、声をかけてきた人物の顔を見て、すぐに表情が和む。
「何してるんですか?」
「んーー。散歩かな?リナちゃんは?」
「私は、お母さんの御遣いで、食料品を買いにきました」
 そうなんだ。と微笑むと、何かを思い出したようにリナが急に笑顔になる。
「そういえば、シアさん、ドスジャギィを倒したんですよね?お母さんから聞きました」
「うん。たまたまだけどね。なんだか、噂になってるのかな?」
「そういう訳じゃないですよ。ただ、お母さん村長さんと仲が良いので。みんな、助かったって言ってますよ」
「それなら良かったわ。でも、少しだけ大げさ過ぎないかしら?」
 そう。シアが先ほど考えていたことは、これだ。
 大型モンスターを討伐したということで、村人たちの危険が少なくなったことは当然だ。それに対する賞賛を受けるのはわかるのだが、ユクモ村の人々の反応が少しだけ大き過ぎるのだ。
 依頼主にこれだけ礼を言われるのならわかる。おかしく感じるのは、村人の大半が大袈裟過ぎるほどの礼を述べてくることだ。
「えっ?だって、大型モンスターを狩ってくれたじゃないですか」
「うん。それはそうなんだけどね」
「どうしたんですか?なんだか、シアさんおかしいですよ?」
 シアの言わんとすることがわからないのか、リナは不思議そうに首を傾げている。
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