モンスターハンター 蒼風の導き

□第二章 狩猟
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 シアがユクモ村に到着してから数日が過ぎた。
 最初は痛んでいた腕も、次第に痛みが引き、少しずつではあるが感覚も戻ってきた。
 村長から譲り受けた家の裏庭のスペースを使い、素振りをして軽く汗を流し、その後に温泉に浸かり、村の中をブラブラと歩くだけ。
 そんな毎日を過ごしていると、ある一つのことに気付く。
 それは、この村の人たちの中には、ハンターのことをよく思っていない者がいるということだ。
 モンスターの素材や採取物で店を営んでいる人間たちは、ハンターのことを重宝しているらしく、シアのように怪我をして狩りに行けないハンターでも良くしてくれている。
 だが、そうではない人たちは、ハンターというだけでシアのことを避ける者もいる。
 この村には、常駐のハンターがおらず、湯治に来たハンターにお願いをして依頼をこなしてもらっていたらしいので、そのときのハンターが良からぬ行動をとったのだろう。
 どちらにしても、シアたちにとっては迷惑な話だ。
 そんなことを考えながらも、シアはすでに着慣れてきたユクモノ装備に袖を通し、素振りではだいぶ手に馴染んできた古ユクモノ双剣を背中に下げる。
「ご主人様!今日は狩りに行くのですかニャ?」
「うん。体の調子も確認したいから、採取ツアーに行こうと思うの。二人とも、準備は大丈夫かしら?」
「「大丈夫ですニャ」」
 小さなポーチを腰に下げ、それぞれの武具を身に纏った二匹が元気な声を上げる。
 ミナトの装備は変わっておらず、マフモフ装備にネコノ木刀。一方のジャスミンは、シアの装備とおそろいの、ユクモノ装備だ。武器はネコピック。採掘のときに使うピッケルと呼ばれるつるはしを、武器になるように改造したものだ。
 シアもすでに準備はできている、実のところ、採取ツアーに行くことを決めた昨日から、居ても立ってもいられず、準備を済ませていたのだ。
「よし、じゃあ、行きましょうか」
「はいですニャ」
 元気に反応したのはミナトだけ。ジャスミンは、少しだけ緊張した面持ちで苦笑いを浮かべている。
「ジャスミン。怖い?」
 そんなジャスミンの気持ちを感じ取ったのか、視線を合わせるように正面にしゃがみ込む。
「す、少しだけですニャ」
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