小説ですよ〜
□秋
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季節外れの雪だるま
季節はずれの大雪が降って、あたりは一面銀世界。
そんな世界から、ボクたちは生まれます。
雪ダルマ。
地面に積もった雪を丸く固めて大きくしたものを、何段か積み重ねて完成します。
ニコニコ笑っている友達もいれば、少し怒ったような顔の友達もいます。
ボクたちを作ってくれた人によって、ボクたちは色んな表情になります。
今日、ボクを作ってくれた人は、とても嬉しそうな表情にしてくれました。
だから、僕は今日は凄く楽しい気分です。
でも、作り慣れていなから、体は上手く丸にはなっていません。
少しいびつな、雪ダルマです。
しかも、お顔に使われているのは、どこかで拾ってきた貝殻に、小石、木の棒です。
小石、木の棒は、使われる頻度は高いからまだわかるけど、何で貝殻なんだろう?
僕に口があれば聞けるのに、作ってくれなかったから、口はありません。
少し不思議だけど、まぁいっか。
完成したボクを見て、嬉しそうな笑顔が見れれば。
でも、きっと明日には僕は溶けて消えてしまう。
この辺りは、まだまだ気温が高くて、ボクたちがずっといるには暖かすぎるから。
もしかしたら、寂しくて泣いちゃうかもしれないけど、今回だけは我慢してね。
また、本格的な冬になればまた会えるから。
だから、冬が来るのを、楽しみに待っていてくださいね。
季節外れな雪ダルマからの、お願いです。