小説ですよ〜
□テルテル坊主の独り言
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クルクルクルクル。
風に揺られて、ティッシュで出来た体を廻しながら、ボクは空を見上げる。
テルテル坊主。
ボクはそんな風に呼ばれています。
晴れを引き寄せるおまじないなんて言われているけど、そんな不思議な力なんてないのです。
明日の天気が晴れなのか、雨なのかは、神様じゃないときっとわからないと思います。
それでも、ボクはこうして作られて、そして吊るされます。
『あーした、てんきになーれっ!』
ボクを作ってくれた子が、ニコニコ笑顔で吊るしている。
きっと、明日雨が降ればこの子は泣いてしまいます。明日は、楽しみにしていた遠足なのです。
お母さんと二人、楽しそうに準備をして今は夢の中です。
きっと今頃、楽しく遠足をしている夢を見ているのでしょう。
ボクにしてあげられることは、明日が晴れになるように、お祈りするぐらいです。
たくさん願い事を詰め込んでくれたから、ボクがお願いすればきっと神様にも届くはず。
だから、この子が眠っている間は、ボクがいっぱいお祈りするんだ。
たくさん、たくさんお願いしたら、きっと神様も聞いてくれるはずだから。
だから、何も出来ないボクだけど、一生懸命お願いします。
どうか神様、明日は晴れにしてください。
声は出せないけど、お願いすることは出来ます。
『あーした、てんきになーぁれ!』