小説ですよ〜
□きっと何年経っても……
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キミとは、今までずっと一緒にいたね。
物心がついたときから、俺の隣にはキミがいて太陽のような笑顔を見せてくれていたね。
同じ遊びをして、同じ景色を見て、同じように育ってきた。
キミが泣いていれば、必ず俺が慰めて、俺が泣いていたら、キミが慰めてくれた。
お互いに、いなくてはならない存在になっていたと思う。
恋人という関係じゃなかった。でも、友達で済ますことができるほど軽い関係でもなかった。
変な表現をするのであれば、友達以上恋人未満だった。
お互いに、良い関係でいたかったんだと思っている。
俺は、この関係が気に入っている。この関係が、ずっと続いてくれれば良いとさえ思える。
「…………テッちゃん?」
「うん?……どうした?」
弾かれたように隣を見ると、そこにはなぜか不機嫌そうな表情を浮かべた幼馴染の姿があった。
「テッちゃん。また、話聞いてなかったでしょ?」
河豚のように頬を膨らませて抗議する姿は、子どもそのものだった。
「いや、そんなことないぞ?しっかりと聞いてた」
素直に謝るのは癪なので、少しだけ強がってみせる。でも、実際のところ話なんて聞いていなかった。
俺の強がりを見抜いているのか、幼馴染は小悪魔のような笑顔を浮かべる。
「じゃあ、私が何を言ってたのかわかるよね?」
「むっ?と、当然だろ」
「はずれたら、今度アイスおごってね?」
「…………」
冷や汗が背中を流れる。
今の一言で、俺の虚勢はチェックメイトだ。
ここで俺がとるべき行動は唯一つ。