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□太陽の指先
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じりじり、と私達を空から焼き殺そうとする太陽さま。どうかお願いですから一日くらい休んでください。
いくら太陽の恩恵を受けて私たちが生きていると言っても、これは流石に暑すぎるだろう。
それでも太陽は嫌われることなく空に輝き続けている。実際私も嫌いじゃあない。

そして私は、そんな太陽とよく似た男を知っている。

何かと暴走するし、砲弾は蹴飛ばすし、委員会の後輩にかなりの無茶をさせる。
そんな彼は呆れられるようなことがあっても、嫌われるようなことは絶対にない。
いざとなれば頼りになるし、彼の笑った顔を見れば何でも許してしまいそうになる。


「ねえ、七松先輩」

「ん?どうしたっ?」

「いえ、今日は暑いので、いくら先輩と言えども倒れないように、と思いまして」

「なんだそんなことか?
大丈夫だ、私はそんな簡単に倒れたりしないぞ!」


いけいけどんどーん!
そう叫びながら猛スピードでどこかへと駆けていった先輩に、私は思わず笑みを漏らした。まったく、これだからあの先輩は憎めない。
くのたまの中では無遠慮だとか何だとか言われているけれど、私にとっては彼は恵みの太陽さま。
時に熱くて、時に優しくて、時に雲に隠れて、私たちを思っていて下さる。


「おい、何ぼーっとしてるんだ?」

「、え」

「お前も一緒に走るんだぞっ!」


待って下さい、と言うには遅すぎて。
がっしりと握られた手を引っ張られて、私は先輩のマラソンコースを時には走り、時には宙に浮きながら共に進んだ。

繋いだ指先から伝わる熱が、私の頭上から照りつける熱さと一緒になって私を苦しめる。
頭がクラクラして、胸がドキドキする。これはただの熱中症。そう、ただの熱中症。
私は紅潮する頬を隠すことも忘れて、目の前を走る熱い指先の持ち主を見た。




太陽の指先




(それはあなたの指先)
(私を溶かす指先)

(熱い、指先)


――――――――


歓落】様提出。





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