戦国無双book
□狐と竜
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犬猿の仲
もしくは、
それ以上
狐と竜
「ねーねー、ずっと"馬鹿めっ"って言ってるけどさァ、それって疲れない?」
目の前の、花菖蒲の柄の服を纏った少女から唐突な疑問が飛んだ。
「…はぁ?」
予想もしていなかった言葉に伊達政宗は思わず間の抜けた声を出した。
─
今米沢城に、真田の忍が使いで来ている。
幸村から伊達へ宛てた文を渡しに来たらしいが、その使いと言うのが厄介なことに、あの"くのいち"だった。
くのいち曰わく、
「緊急事態〜♪」
…らしいが、まだ文は見ていない。
見ようと何度も試みたが、その度になぜかくのいちに阻止された。
理由は、わからない。
「─急に現れたと思ったら、いきなり何を言い出す…馬鹿めっ」
政宗は呆れてため息を出す。
くのいちは、幸村からの文を渡したらすぐに帰るだろうと思っていた。
だが、当のくのいちには全く帰る気配がない。逆に、このまま居座るつもりらしい。
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