戦国無双book
□西瓜
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「幸村も西瓜も着物も、頼んだぞ左近。くれぐれもくのいちには気を付けろ―」
「誰に"気を付けろ"ってぇ〜?♪
もしかして、アタシの事?
にゃぁ〜、人気者は大変!!」
左近の頭上を見た三成の顔が引きつる。
左近は、ゆっくりと、冷静に天井を見た。
「…アンタ、いつの間に;」
左近は苦笑いをする。
「ついさっきだよ。
だぁってさぁ、隣の部屋なのに
アンタ達の声が五月蝿いんだもん。
幸村様がゆっくりくつろげないでしょー?
だから、アタシが止めに来たってワケ♪」
くのいちは、ビシッと右手の指で三成と左近を指差す。
「あ〜あ…ほら殿、迷惑ですってよ!
ここらでそろそろ止めにしましょうよ――」
「―幸村が迷惑しているだと!?」
三成が急に真顔になる。
左近は自分の声を無視されて、
少々ムッとしたように見えた。
「そうそう!もぉ大迷惑!!
幸村様がイライラしてて…―」
くのいちは天井から、音もなく畳に飛び降り、
身振り手振りで状況を説明する。
果たしてその話が本当かは定かではない。
三成はくのいちを嫌いだと言っていたが、幸村が絡むと別のようだ。
左近もついでに話を聞くことにした。
「―…で、アンタ達が騒ぎ出して、
幸村様は落ち着いてくつろぐ事もできなくて――」
「―こら、くのいちっ
どこに行ったのかと思ったら…
こんな所にいたのか!」
襖をスパンッと勢いよく開く音がする。
くのいちは驚くどころか、心なしか嬉しそうだ。
真田幸村の登場である。
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