Dグレ
□「おめでとう」を君に…
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「どうしよう…」
頭を抱えながら、ある部屋の前でウロウロとする1人の少年がいた。
『えっ…いない?』
『ああ、任務に出てるから…多分今日の夜か明日には帰ってくると思うけど…』
『そう…なん、ですか』
リーバーさんを掴まえて、教団内に姿の無かった人の居所を知った。今日が何の日か知っていたから、どうしても逢いたくて探していたのに。
(任務に出てるなんて…)
どうしようもないじゃないか…。
『何か用事でもあったのか…?』
『あ、いえ…何でもありません』
そう聞いてきたリーバーさんに僕は曖昧に笑い答えた。
その後に、足を運んだのは彼の部屋…の前。不在の人間の部屋に勝手に入るのはさすがに失礼だと思い扉の前でウロチョロと歩く。
(帰って来るのは…明日)
出来れば、
今日中に逢いたいのに…
(でも、もしかしたら今日逢えるかもしれない…)
「部屋の前で待ってても…いいよね」
自問自答し、部屋の前で待つ事を決めたアレンはいつ帰ってくるかも分からない神田を待つ事にした。
物音がする度にそっちに視線を向け、誰もいない事に落胆しながら。
時間だけが空しく過ぎていく。
(もう…外も暗い)
あれから数時間、立っているのも疲れてきたので扉の前に腰掛けて待つ事にする。
月の位置から、今日があと数刻で終わるだろうと予測した。
(……寒い…)
溜め息を吐きながら膝に顔を埋めた。
……………‥‥
「………」
「……──、で…寝て…──…」
(………ん)
ふいに身体がふわりと浮いて誰かが話している声が聞こえた気がして薄らと目を開ける。
「…………かんだ…?」
ふいに視界に入ったのは待ち望んだ人の顔。
その顔は相変わらず不機嫌な表情に見えた。
「……やっと起きたか、阿呆モヤシ」
そう言いながらも、自室のベットにアレンを横たえる。
「え…あれ?僕寝ちゃってましたか…?」
「ああ。人の部屋の前でグースカ寝てたな」
団服を脱ぎながら、神田は呆れたように溜め息を吐く。そんな神田の様子を目を擦りながら見ていたアレンは、ハッと気付いたように声を上げた。
「あっ!い、今何時…何日ですかっ…!!?」
「…は?……0時回ってるからな、7日だろ」
「っ…」
(そんな……)
神田の返答にがっくりと肩を落とす。それを不思議そうに眺める神田。
「…何だよ?昨日何かあったのか?」
「……の…」
「は?」
「…君の、誕生日…」
その言葉に少しの間があって。漸く理解した神田が「ああ…」と呟いた。
「別に、たかが誕生日で…」
「そんな事ないです!君が産まれた日ですよ!?この日がなかったら…僕は君に逢えなかった」