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□ある朝の日。。
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今まで生きてきた中で、
初めてと言えるくらいに執着した相手



相手が誰でも強気で


その瞳はいつも真っ直ぐで



自分に持っていないものを持つ彼に近付きたいと思った


初めは興味本意


接している内に次第に違う意味で彼に近付きたくなった





───芽吹いたのは"恋心"


















「………ん」


カーテンの隙間から朝日が覗く。その眩しさに目を薄く開けた。時計を見れば時間は、6:30で。まだ登校時間には少しだけ早い。


(ああ、まだ少しだけ…)


寝れると思い布団に潜る。
ふいに触れたのは温かいもの。布団を少しだけ捲ると、そこには規則正しい寝息を立てる…雲雀の姿。


(………ああ、)


そうだった。昨日、雲雀を何とか言いくるめて家に連れ込んだのを思い出す。


「……スゥ-…」


そっと寝息を立てる彼の髪に触れる。柔らかい髪が指に絡まって落ちた。



寝顔も可愛い。
そんな事を考えながら、今度は頬へと手を滑らす。気持ちの良い触り心地。少しだけ撫でるとそれに反応して身体が動く。



最初は只の興味本意だったのに。
(今は、こんなにも愛しい…なんて…)


自分でも想像出来なかった感情に驚きながらも、満たされていく心。


彼が傍にいる…
それが今こんなにも嬉しい。


あまりにも可愛い寝顔に気付かれないようにそっと唇に口付けた。


チュッ---っと音が鳴る。


それでも、彼は起きない。




少しだけ悪戯心に火が付いた。







もう一度唇を近付けて
今度は、さっきより深く口付ける。そっと唇を割って舌を絡める。


「……ンッ…」


「……ンンッ…?」


息苦しさで、彼がやっと目を開ける。働いていない頭で現状を理解するのに少しばかり時間が要した。



「んっ…?!」



「…クフ…おはようございます、雲雀君」


やっと理解した彼が胸を叩くので仕方無く解放して挨拶する。

彼は睨み付けるようにこちらを見ながら、「何してるの、君」と尋ねてきた。


「いえ…雲雀君の寝顔があまりにも可愛かったのでつい…」


「………噛み殺されたいの?」


「雲雀君になら本望です」


「………あっそ」


笑顔で答える骸に雲雀は呆れたように溜め息を付いた。


「ところで…今何時?」


「今ですか?…丁度7時ですよ」


「………ふぅん」


そういうと、雲雀は気怠そうに布団を被る。


「学校遅刻しちゃいますよ…?」


「……今日は良い」


気分が乗らないのか。雲雀はそういうと小さく欠伸をした。そして骸に対して視線を向ける。


「…僕が行かないから君ももちろん行かないよね」


強制にも近い台詞。
それでも骸の顔は微笑みを浮かべる。


「……もちろんです」


そういいながら布団へと潜り雲雀の身体を抱き締めた。
「暑苦しい」と言いながらも腕を解こうとはしない雲雀に顔が緩む。


「……愛してます、雲雀君」




君の体温がこんなにも心地良い。




「………うるさい」






そういいながらも
頬が少しだけ赤いのはきっと気のせいではないだろう。







(君に逢えて良かった)







ぎゅっと、
抱き締めている腕に少しだけ力を増した。












end

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