保健室の死神

□Je l'aime
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ほんの冗談だって言えたなら、今頃こんな状況にはなっていなかっただろう。


Je l'aime


昨日あいつに言ってしまった。あいつは、嫌な顔をしなかった。
そのかわり、困ったような顔をした。

「ごめんね」


言われて思った。
俺は何て事を言ってしまったのだろうと。
なんで言ってしまったのか、俺も解らない。

でも、今更何て言えばいいかわかんない。
だから、困ってるんだ。

「どうかしたの?ため息多いけど、保健室にも行かないし」

「別に普通だろ」

「(普通って…違うから言ってるのに)」

――今の授業は、藤が嫌いな“美術”だ。

「お前がサボらないなんて、ハデスと何かあったとしか考えられないんだよ!」

「っちょ、美作君!そんな、ストレートな!」

「お前だって、気になったから聞いたんだろ?」

「そうだけど…」

チラッっと、藤の方を見ればそう漏らす。

「藤君さ、どうかしたの?相談ならのるし」

「(こーいう時、勘の良い奴は困るんだよ)」


ただ、好きだって思っただけ。ただ、それだけなのに……。

なんで、こんな事になったんだろうな。
 

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