long
□10.みんなの幸せを…
1ページ/7ページ
「マスターの事は心配いりません。セレニティ様」
声がしたかとおもったら、衛のジャケットのポケットから、四人の影が現れた
う「あなた達は…」
「「「「クンツァイト・ゾイサイト・ネフライツ・ジェダイト」」」」
衛「おまえ達。勝手に出てきたらダメじゃないか!驚くだろ!」
そう、ベリルに操られ、肉体が滅びた四天王がそこにはいた
う「まもちゃん。この人達は…」
衛「今まで言ってなくてごめん。肉体が滅びた後、石にこうして意識だけとなって、私の側にいたんだ。」
う「そう…あなた達…今までまもちゃんを守っててくれたんだ。ありがとう」
クン「めっそうもございません。セレニティ様。私達は肉体がない身。できる事は限られています。しかし、マスターには我々がついているので、セレニティ様はこれからのことはどうか心配なさらずに。」
う「ありがとう。クンツァイト。あなた達がいれば、寂しくないわね」
そう言って四天王に微笑みかけた
クン「あなた様には、申し訳ないことをいたしました。一言、お詫びしたかったのです。私達が、ベリルに操られたせいで、お二人を…」
う「もう、終わった事はいいのよ。」
うさぎはそう言って四天王に微笑む
クン「・・・ありがとうございます」
クンツァイトと他三人はうさぎに頭を下げる
クン「マスター。もう少しいいですか?」
クンツァイトはそう言うと、衛の返事も聞かずすーーーっと動きだした
そして、美奈子の前で止まり
クン「お久しぶりでございます。ヴィーナス殿」
美奈子は目を見開き、後ずさった
夜「…愛野?……」
美奈子の隣にいた夜天は、美奈子の腕をつかみ止めた
後ろに棚があり、ぶつかると思ったからだ
美奈子は無意識に、自分の腕をつかんでいる夜天の服の裾をギュッとつかんだ
その手は、微かに震えていた
夜「……愛野…」
夜天は心配そうに美奈子を見つめる
クンツァイトはそんな美奈子を見つめ・・・
クン「怖がらせて申し訳ありません。私はヴィーナス殿にも、一言謝りたかったのです。申し訳ありませんでした。あなたの大切な姫を傷つけ、あなたまで…」
美「……今さら…何よ・・・」
美「…私は・・・私は・・・あんたを絶対に許さないんだから!!」
美奈子の口調は段々強くなった
美「大体何よ!あんだけ、マスターマスター言ってたのに、そのマスターを信じる事が出来ずに、あの女に騙されて!あんたは、バカよ!!大バカよ!!!」
美奈子の目には涙がたまっていた
クン「そうだ。俺は大バカだ! 自分が弱いばっかりに…ベリルにつけ込まれ……大事な主君を傷つけ……」
クン「そなたは、強かったな…」
美「当たり前よ!あんたなんかと一緒にしないでよね!」
そう言って、美奈子はクンツァイトを睨みつける……
「「…プッ…」」
どちらともなく、二人は吹き出した
クン「そなたは変わらぬな。」
美「は?あなたのしらない間に、私はまた強くなったんです!」
クン「そうか。それでは、お手合わせを…と言いたいとこだが」
美「無理ね!その身体じゃ…」
美奈子はクンツァイトを見つめていた
その目は先ほどとは違い、愛しい人を見る目で…
クン「ヴィーナス殿…お慕いしておりました…」
そう言ってクンツァイトは美奈子の頬に触れようとするが、実体がないので、叶わず・・・
美「私は……愛野美奈子は・・・・あんたなんか、大っ嫌いよ!!」