始まりの唄

□ACT.X[心の傷]
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「なづなは・・・貴方の事が好きだったのよ・・・。」












ツナは、心の底から驚いたような顔をし、


すぐに


自分のした事が
自分の考えていた以上のものだった事に気付いた










「なづなが・・・俺を・・・?」


「えぇ。電話で、色々な話をしていた時に彼女が言っていたわ。」


「あ・・・・・・・・」


「・・好きだった人に裏切られ、罵られ、凌辱された挙句に信じてもらえなかったなんて―――しかも、あんなかたちで抱かれるなんて、悲劇以外の何物でもないわね。」


「あっ・・・な、づな、・・・?」


「・・・今更遅いわよ。でも、まぁ。今の貴方ならあの子に会う価値はあるわね。今までは論外だったけど。」








そこまで言うと、雅姫はツナの腕を引いて歩き出した。








「え、どこに行くんだよ・・・・」


「なづなの所。」


「っ!!なん―――」


「言ったでしょ?私が貴方に罰を与えてあげるって・・・。これは罰。彼女が壊れるまで気付かなかった貴方への、私からの罰」



「でも・・・俺が行っても、会ってくれないかも。いや、絶対に会ってくれない・・・・。」


「あはっ♪ツナ、何言ってんの?」






あまりに楽しそうに笑う雅姫を見てツナは不審に思ったのか、それとも恐怖を感じたのか









「な、なんだよ?」








すると、とっても愉快で楽しそうに笑ってこう言った












「なづなが会ってくれないのは当たり前。貴方達はそれだけの事をしたんだもの♪それなのにさぁ、まだ会いに行ってもないのに決め付けて・・・本当人間って愚か。見ててとっても楽しいわ!!」












あははっww









と笑っている雅姫



腕を引かれて

驚いているような
戸惑っているような

微妙な表情のツナ










「私は貴方に罰を与えてあげると言ったわ。貴方、罰の意味分かってる?罰ってゆーのはね。アンタたち罪人が選んで良いもんじゃないの。黙って従い償うもの。だから罰なんじゃない。私は肉体的な罰はどうせいつか癒えちゃって忘れちゃうからあまり与えないの。そのかわり、精神的な罰を与えるわけ。身体の傷はいつか癒えるけど、心の傷はそんな簡単に癒えたりしない・・・下手をすれば更に傷が深くなるだけ。」










「・・・・・。」







雅姫、最後とっても寂しそうな声してた・・・。










「だから、貴方に与える罰は、なづなの復讐のお手伝い。まぁ当たり前ね。それからなづなに会って、誤解を解く事。まぁ誤解も何もない、アンタらが100%悪いんだけど。」


「・・・・あぁ。」


「後は・・・・なづなが、自分のせいで傷付き、悲しみ、男性恐怖症どころか人間恐怖症にまで陥り、壊れる寸前まで追い詰めてしまった事を忘れない事。一生。ね?」










これだけ言えば大抵の人間は怖くなって逃げ出して私に殺される運命なんだけど・・・・・











「あぁ・・・分かった。」













目の前の少年は

今までに一人しか見た事が無い


綺麗で真っ直ぐで強い意志をもった目


をしていた――――








「ジョッ・・・ト、っ?」


「えっ?」


「っ!!な、何でもないっ!!」


「?・・・雅姫、?」


「なんでもないからっ」


「雅姫。」


「気にしないで!何でもないから。」


「でも、雅姫・・・・・泣いてるよ?



















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