始まりの唄

□ACT.W[白?黒?]
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#ツナ視点#








少し強めの風と暖かい日差しが気持ちいい屋上で寝転がると

なんだか眠くなってくる




え?今?
授業中ですが?それが何か。



多分2のAでは、ねちっこい数学の授業にまいってるんだろーなー。



















つーか。















「なんで俺を呼び出した張本人が来てないんだよ。」










そう。今は二時間目の真っ最中。





しかも授業が始まってから15分近くたっている











「あの女・・・・」











(後で屋上に行きなさい。)








とか言うから来てやったのに、当の本人が来てないってどーゆーことだよ。
せっかく授業ズル休みしてきてやってんのに・・・














そう。
ツナは、雅姫に
屋上に行け
と言われた為
腹痛と言う名の仮病をつかい
屋上に来ていたのだった













・・・・・・こねぇ・・・・・・・・













だんだんイライラしてきた











「・・・・・あの野郎・・・ブチ犯すぞ。マジで。」












「ブチ犯されたくはないわね。」











「っ!!」




突然入口付近で聞こえた声に驚き、そちらに目をやると、長い髪の少女が微笑んでいた。






ドキンッ








「っ・・・」










不覚。
一瞬ドキッとした。









「ドキッとした?」


「っ!!」






コイツはエスパーか?
さっきといい
今といい・・・







「エスパーじゃないわ。少なくても、貴方の偽りの仮面とその演技は普通の人間には見抜けないから。安心して良いわ。すごく上手だもの。」




「・・・何のこと・・・?お、俺、ただ坂本さんに呼ばれたから来ただけで・・・・・」

「フフッ♪残念だけど、私には通じないわ。だって、知っているもの。ボンゴレ10代目?」

「っ!!」





やっぱりコイツ、マフィア関係者だ。









「なんで君は・・・」



「stop。」



「え?」





一体何者かと
聞こうとした瞬間に
自分の唇に人差し指を当てられて喋れなくなった









「フフッ♪」











俺の唇に指を当てたまま
妖艶に微笑む姿が、すごく現実離れしていて・・・




ついつい見とれてしまっていた










「私の事は雅姫で良いわ。ツナ君?」


「あっ、」




そこまで言うと指が離れる






「なんで、名前・・・」


「・・・ねぇ。ツナ君?もう、お互い演技はやめない?」


「えっ?」


「めんどくさくない?ヘタレ演じるの。本当の貴方は運動神経抜群。頭も良いし。その他の要素だって文句なしに素晴らしいわ。なのに、何も出来ない子を演じるなんて・・・飽き飽きしちゃう。」


「・・・・・・。」




コイツは。
敵か?味方か?











「信じてもらえてないみたいね・・・」










当たり前だ





俺の立場を考えると尚更、そう簡単に人を信じるわけにはいかない




それに、コイツは100%マフィア関係者。

もしかしたら敵ファミリーの刺客のマフィアかもしれない。




俺の味方で俺が今安全な保障は何処にも・・・・・・・・・ない










「・・・ふぅ。じゃあ貴方の超直感を使えば良いのに・・・」


「・・・・・」







言われなくても、最初からなんとなく敵ではない気がしていた
いや、敵じゃないというより、

本能が
超直感が





【敵に回してはいけない】






と告げている








でも・・・なんとなく。
コイツは信用できる。
コイツは俺を絶対に裏切らない。


そんな確信がある



根拠は無いが。






「答えはでた?」


「・・・あぁ。俺の事はツナで良い。これからよろしくな。雅姫。」


「分かってもらえてうれしいわ!良かった!!」



ニコッ







本当、花みたいに笑うよな・・・・









「しかし、アンタのクラス、死んでるわね。」


「ん?あぁ、美由の事か?」


「そ。何あのメス豚。調子乗り過ぎでしょ。厚化粧だし香水臭いし」


「ああ。遠回しに嫌み言ってたよな。」


「あ、やっぱり分かる?流石10代目。まわりの屑とは違うわぁ。」




“10代目”




その単語を聞き思い出した。





「お前、何処のファミリーの人間だ?何をしに此所へきた。」







殺気は抑えて聞いてみる











かえってきたのは意外な言葉。











「ファミリーはそのうち嫌でも分かるわ。此所へ来た理由は、任務で、なづなの復讐に来たの。」



「!!なづ、な・・・?」




その名が出るとは思わなかった
あからさまに動揺する様子を見て、不審に思ったのか、雅姫が目を鋭く光らせて聞いて来た










「まさかとは思うけど・・・・・貴方までなづなに手を出していたわけじゃないでしょうね・・・?」


「っ!!!!」










正直に言うと、
出してない










と言えば嘘になる











「・・・・何をした。」




ドスの聞いた、低く冷めた声。
さっきまで話していた少女の声だとは思えない程、殺気も、空気も、
その少女の存在じたいも





何もかもが一瞬、怖くなった・・・











嘘をつけば死ぬ・・・
直感でそう思った








「直接的な暴力は振ってない。暴言や、罵ったりしてた。」



「そう・・・嘘は言ってない目ね。でも・・・・まだ何か隠してる。」



「っ・・・・」






やはり、隠しきることなんて、彼女の前ではできないんだな



そう思いながら、
自分の罪を


今となっては
もう二度と

できない

してはいけない

罪を・・・


言えば楽になる?


言えばどうにかしてもらえる?


自分は何を望んでいる?



そんな事を考えていると
ふいに声がした





「罪には罰を」


「!!」



すると
急に声音が優しく、色っぽくなって
女神のような優しい微笑みを浮かべて言った







「愚者には真実を。罪人には罰を。醜女には死を。貴方が真実を知っていて罪を犯したのなら、懺悔なさい。私が、罰を。与えてあげる。」






俺の頬に白く、長くて細い指を這わせ、顔を包み込むようにして

俺の顔と雅姫の顔が、スレスレの所まで近付く






オイ、やっべぇぞ!あと少しずれたらキスするくらい近ぇよ!!!!








とか考えてる暇など無かった。








「ずいぶんと余裕ぶっこいてんじゃない。」


「え、あ、や。そうじゃなくて・・・軽く現実逃避してトンでた。」


「・・・でしょうね。」


「・・・俺が・・・」


「・・・・・。」


「まだ、美由の正体に気付く前・・・朝、登校したら美由が抱き付いて来て、こう言ったんだ


『昨日、なづなちゃんのお友達にぃ、無理矢理っ、路地裏、にっ、連れてかれてぇっ・・・ひっく・・ぐすっ、怖かったよぉおっ!!!ぅえぇえんっ!美由、汚れちゃった、よぉっ!!』


ってな。その時は何も知らずに、半信半疑だったんだがな、それを聞いて・・・・俺、隼人、武、雲雀の四人で・・・なづなを夜中に呼び出して・・・レイプした。」


「・・・・・、そう。」


「今でも、夢で見るんだ・・・あの日、俺達がしてしまった・・・罪を・・・。」





















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