始まりの唄

□ACT.V[予期せぬ転校生]
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標的への復讐を心の中で
誓っていると担任に声を掛けられた


「じゃあ、先生が呼んだら入ってきなさい。」

「はい。」



――ガラガラ


「おーい。席つけー!!!」

「じゃぁまたねぇ!ツナくぅん☆」

「うん!」




・・・・・・・・・
今、教室のドア開いた瞬間にスゲー香水の臭いした・・・





「えー・・・突然のことなんで先生もよく分からないんだが、うちのクラスに転校生を二人迎えます。」


ザワザワ




先生もよく分からないってオイ。
大丈夫か先公。






「先生!男?女!?」

「どんな子ー!?」

「可愛い子だと良いなー!!」





ルセェなぁ。
キャーキャー喚いてんじゃねぇよ。
残念ながら可愛くも綺麗でもありませんよー







「両方だ。ちなみに男子の方は用事があって来ていないから、女子の方だけ紹介するぞー。」





そろそろかな?




「入っていいぞ。」





――ガラガラ




「キャーー!!可愛いーっ!!」


そりゃどうも。


「俺めっちゃタイプ!!」


ざけんな。気色悪い。


「髪、とっても長くて綺麗!」


ヅラですから。


「ホラホラ、静かに!!!」





先公ナイス。







「親の都合でイタリアから引っ越して来ました。坂本雅姫です。よろしくおねがいしますね。」



ニッコリ微笑んでクラスを見渡すと、ほぼ全員、約2名以外が赤くなっていた。







ふふっ・・・。
やっぱりね。
小谷野美由。
ちゃんと想像通り睨んでくれてるわ


それから沢田綱吉。
貴方は白?それとも黒?

フフッ
すっごく疑いのまなざしを向けられてるけど、まぁしょうがないかな?









「先生、私の席は何処ですか?」

「え?あ。あぁ!!そうだな、じゃあ・・・あそこの、菊が飾ってある所の横で良いか?」

「・・・・・なんで菊が飾ってあるんですか?」

「え?それは・・・」

「・・・・・。」





呆れた。
説明できないのかよ。コイツ


もういいや。








黙って指定された席まで歩いていると


香水の臭いがきっつくなった。


一瞬顔を歪めて、その不愉快な臭いの原因の横でピタッと止まる。









「・・・ねぇ、貴女。」

「なぁにぃ?雅姫チャン?☆」











うざっ。
何コイツ

つーか名前で呼ぶな
悪女が











「・・・・香水。キツくない?今度良いお店紹介してあげようか?私も香水好きだから。」






遠回しに嫌みを言う
まぁ嫌みに聞こえなかっただろうけど

馬鹿だから










「ホントォ!?ありがとー雅姫チャン☆美由、超ウレシー!!」

「そう。じゃあまたあとで。」










馬鹿め











ガタンッ




自分の席につくと、左にある菊がすごく綺麗で、なんとなく何処の店の花か知りたくなった








「綺麗な菊。誰が飾ったのかしら?」

「俺!!飾ったの。」










自首しやがった(笑)












「そう。ねぇ、貴方に質問してもいーい?」

「あぁ!良いぜ!」





えーと
じゃあ下僕1で良いや

美由の下僕1に質問する。何も知らないイタリア人の様に









「日本の学校では、休みの人の席に菊を一輪飾る風習でもあるの?それとも校風?」

「っ!!それ、は・・・・」






言い淀む下僕1

あははっ
ざまぁ









「・・・・・ふーん?変わった所ね。日本て。じゃあ私が休んだ時にも飾ってもらえるのかしら?だったら飾ったの、いただきたいわね。捨てるなんてもったいないし。」










「あ、えっと・・・」











「雅姫チャン。あのねぇ?その席のなづなチャンって子がねぇ?美由の事、イジメてたのぉ。」






ウルウルと目を涙目にしながら私に言う










お前は女優か










「え、そうなの?」









チラリと隣りの席を見てから突っ込む










「・・・・・私には、なづなさんがイジメられてた様にしか見えないのだけれど?」









「!!!!」



クラス全員が息を飲んだのが分かった










「だって・・・死ね、学校に来るな、キモい、裏切り者、最低、悪女、ウザイ、その他etc・・・机に沢山暴言が書かれているわ?」











「それはぁ、皆がぁ・・・」










「皆が寄ってたかって一人の女の子を《制裁》という名の《憂さ晴らし》や《イジメ》をしていたの?」










「テメェさっきから聞いてれば、なんだと!?まるで美由が悪いみたいに言いやがって!!」

「そうなのな。いくら転校生で何も知らないからって調子乗りすぎだぜ?」

「・・・?何を言っているのか分からないけど・・・じゃあ、貴方達はなづなさんが彼女に手を出している所を見てたの?」

「あぁ!見て――」

「ないでしょ?貴方達が見てたのはいつも《結果》だけだったはず。違う?」

「っ!!」











ふん。餓鬼の癖に
口答えするからよ











「まぁまぁ。坂本も、山本も、そこらへんにしろ。じゃあ一時間目は自習にするからな。ちゃんとやっておけよ!!!」



ガラガラ











逃げたなあの野郎。










先公が消えた瞬間に私の席を沢山の男女が囲む。







「ねーねー雅姫ちゃんって呼んでいい!?」

「香水好きなの?」

「綺麗な肌だね!手入れとかしてるの!?」

「なーなー、好きなタイプとかある?」

「彼氏いる!?」

「菊好きなの?」

「嫌いなタイプは?」

「弟は?」

「今日暇?」

「その指輪どうしたの?」



来た
質問攻め







ウザいなぁ





「みんなぁ、そんなに沢山質問したら、雅姫チャンも困るよぉ。ねぇ?雅姫チャン?☆」

「雅姫ちゃんでいいよ。香水は好き。手入れとかはしてないかな。好きなタイプは優しくて包容力のある人。彼氏はいない。菊は綺麗だから好き牡丹も好き。嫌いなタイプは気の合わない人。弟は用事があって来てない。今日は暇じゃないわ。この指輪はお守りみたいなもの。」






質問を一気に返すと、
おおぉぉーっ!!
とか言ってたけど気にしない。













「あぁ、それから山本とかいう人。」

「・・・なんだよ。」

「さっきはごめんなさい。」

「!!!」

「悪気があった訳じゃないの。ただ、気になったから言っただけ。気分を悪くしたのなら謝るわ。ごめんなさい。」

「あ、いや・・・俺も悪かったし。」

「じゃあおあいこで。」

「ん、そうだな!!」

「私は坂本雅姫。」

「俺は山本武。よろしくな、雅姫!」

「えぇ。よろしく。そっちの・・・銀色の人は?」

「あぁ、アイツは――」

「誰が銀色だ!!俺は獄寺隼人だ。よろしくな。」

「そ。よろしく。で・・・そこの・・・10代目は?」

「「「!!!?」」」









三人共驚いている
それもそうだろう
今日突然転入してきた生徒が、自分達にしか通じないハズの呼び名を。
普通の人間なら知らないはずの呼び方をしたのだ。






あはは、びっくりしてる。








「お前、何もんだ?」

「テメェ、何処のファミリーの奴だ!」

「・・・・・・・・。」

「ウフフ。ヤダ。なんでそんな怒ってるの?貴方が。獄寺君がそう呼んでたんじゃない。」










殺気を放ってるつもりなのか、空気がピリピリしているが、こっちは痛くも痒くもない。

約一名は殺気を押さえている様だけど。







「フフッ♪獄寺君が10代目って呼んでたんじゃない。そんなに怒る事?」

「・・・・・いや、良いよ。」

「10代目!!」

「ツナ!!」

「俺は沢田綱吉。よろしくね。雅姫ちゃん。」

「えぇ。こちらこそ、よろしく。」
(次の時間、屋上に行きなさい。)











小声でそう言うと、聞き取れたのか、軽く頷いていた。























さて・・・これから楽しくなりそうね?
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