拍手ログ

□超時空喫茶店
2ページ/3ページ



カランカラン、とベルが鳴る。

「いらっしゃいませー!」

店の扉に目を向けると、眩しさに一瞬目がチカチカした。
外の光で、というわけではない。なぜだかいつも眩しいと感じる常連さんが来店したからだった。

キラキラと美しい金髪が特徴的なギルガメッシュさん。まるで太陽を直接見てしまったような感覚になるのは、なにか内面の、気迫のようなもののためだろうか。
その感覚も最初のうちだけで、カウンター席に彼が座る頃までには普通に目を合わせられるようにはなるので、接客に支障はないのが救いだ。

「なんだ、我以外に客は無しか」
「やだなあ、たまたまですよ。これでもそこそこ繁盛してますから」

会話しながら手元ではカプチーノの用意を進める。ギルガメッシュさんも注文するものがいつも決まっている人だ。

「今日のケーキはアップルパイと紅茶のシフォンケーキですよ」
「ふむ……アップルパイにするか」
「はーい」
「それにカプチーノも忘れるなよ」
「ふふ、今用意してますよ」

いつも日替わりの二種類のケーキのどちらかとカプチーノを必ず注文するので、ギルガメッシュさんが来たらまずエスプレッソとミルクの準備をすることにしているのだ。

あとは仕上げだけ。
けれども今日のはただのカプチーノではない。

泡立ったミルクをゆっくりと慎重に注いで……完成。

「はい、どうぞ」
「……おお!ラテアートというのだろう、これは」
「ギルガメッシュさんに見せたくて練習したんですよ」

白いミルクで描かれたハート。形が丸くなりすぎた気もするが、なかなかの出来栄えだと思う。

「我にのみ献上される一瞬の彩りか……ふむ、悪くない」

ギルガメッシュさんは眼を爛々と輝かせてラテアートを見つめている。
いつも態度や言葉は偉そうで、正直最初はどうしようかと思ったけれど、こうやって大袈裟なくらい喜んでくれるのはかなり嬉しい。カフェを始めてよかった、と思う瞬間の一つだ。

内心ガッツポーズを決めつつ、お皿に盛りつけたアップルパイを差し出す。ラテアートへの反応が嬉しかったのでサービスして、添えてあるクリームはいつもより少し多めにしてあげた。



次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ