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□超時空喫茶店
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長年の夢だった自分のカフェを開業し、常連さんもできて、お店は結構軌道に乗ってきたかなと思っている。
ただ、私のお店の常連さんは、一風変わった人たちばかりなのだけれど。
カランカランと軽やかなベルが鳴り、カフェの扉が開く。
「いらっしゃい、あ、神威さん」
ニコニコといつも通りの笑顔でお店に入ってきた神威さんは軽く手を振って、それから迷わずカウンター席に腰掛けた。
「こんにちは。いつもので良いですか?」
「うん。今日は5枚でよろしく」
神威さんはカフェが開業して間もない頃から通ってくれていて、いつもパンケーキを注文する。
あまりにも大量に注文するので、店にある小麦粉が全て無くなりそうになり、もう勘弁してくださいと泣きついたこともあった。
それ以来、手加減した枚数で頼んでくれるようになったけれど、一度に5枚も頼む人は神威さん以外見たことがない。
「最近調子はどうですか?」
「まあまあかな。順調に宇宙最強へ近付いてるよ。この前なんかシノビって連中と戦ってさ」
「シノビ!日本のですよね、知ってますよ」
「そうそう。小細工ばかりで大したことなかったけど、まあ一応楽しめたかな」
神威さんがどんな仕事をしているのか私はよく知らない。
聞いても「宇宙海賊だよ」なんて言って茶化すだけなのだ。
いつもハラハラドキドキするような話をしてくれるので、役者さんとか映画関係の人かなと勝手に想像しているのだけど。
焼き上がったパンケーキにホイップバターを乗せ、フルーツを飾り、メープルシロップをかけて出来上がり。
話題の行列店のような派手さは無いけれど、個人的にはこのバランスが一番おいしいと思っている。
「はい、どうぞ」
一枚目のお皿を神威さんに差し出して、私は早速二枚目を焼き始める。
神威さんはバターとメープルシロップが染み込んだパンケーキを一口大に切り取って口に運ぶと、ふわっと顔を綻ばせた。
「うん、おいしい」
「ふふっ、ありがとうございます」
「俺もうパンケーキは君のしか食べられないよ」
「じゃあ私はパンケーキで宇宙最強ですね」
「アハハハ!まさかパンケーキに先を越されるとはね。でも確かにそれくらいおいしいよ」