学校の廊下を旦那と並んで歩く。 始業2分前。教室に入った瞬間、それを見計らったように政宗が来た。 「hey 猿!今日の放課後ファミレス行こうぜ!」 とかいいながら、俺の腕を取る。というか、俺はいつお前と仲良しになったよ。 それを横で見ていた旦那は政宗と反対側の腕を取った。というかお前ら、ここ教室。 「な!ならぬ!佐助は今日は俺とお館様のところへ行くのだ」 きっとそんな俺の反論は誰にも聞いてもらえない。聞いてくれる奴らなら今頃こんなことにはなってない。 「あーひっつくな暑苦しい。俺は今日部活に行くの!」 「…さ、さすけえ」 もう、そんなに顔にも口にも出さないでよ。確かに部活に行くのは今決めたけど、政宗を撒く即席の打開策だったのに。 「もう旦那ってばそんな顔しないの!」 「しかし、」 「俺も部活終わったら行くから、ね?」 「…っ!うむ!」 そういってさりげなく政宗から逃れた方の手で宥めるみたいに旦那の頭を撫でたら、旦那の目が輝くのと同時に政宗の目も光った。なんでだよ普通落ち込めよ。 「あ!ずりぃ!猿、俺にも!」 そっちかよ。ほんとめんどくさい奴。 「うるさいなあ政宗は早く教室帰りなよチャイム鳴ってんじゃん」 「なんでだ!」 「なにが」 「なんで幸村には言わねーんだよ!」 「同じクラスの奴に言って何になるのさ」 なんなの?考えろよ。そしたら分かるだろ脳細胞無駄にすんな。 だからほら、これ以上めんどくさくなる前に帰れじゃないとアレがくるんだよ! 「政宗さま、」 「こ、小十郎…?」 「…」 あーあ来ちゃったよどうしてくれんのさ政宗の馬鹿。政宗がきたら必然的に俺のとこにこの人が来るから、だから政宗は早く帰ってほしかったのに。 俺この人が一番嫌いなのに 「政宗さま、次の授業は浅井でしょう?早く行った方がよろしいかと」 「…oh,そーだな」 「さあお早く」 「仕方ねーな、じゃあ猿!また後でな!」 「じゃあな、もう来んなよ」 いっつも政宗を俺から追っ払ってくれるのはありがたい。でも政宗がいなくなったあとまだ政宗の方がよかったと思えるくらいうざったい。 「おい猿飛」 「はあ、何?」 「もし政宗さまに間違いを犯してみろ…その時はお前の籍をこの学校から消してやる」 ああくそ、なんでこんな奴が教員免許持ってんだよ。有って無いような権力振るいやがって。 嗚呼、何かが切れる音がする。マジギレがお前だけの専売特許と思うなよ 「うるせーなこの勘違い一等賞!お前も早く次のクラスの授業行けよ!」 片倉小十郎は空気が読める、気配りが上手い、集団をまとめる力がある、というのが世間の評判だ だが政宗のこととなると一転、授業をしにきたのに片倉が居座るせいで授業をするにできない世界史の先生と生徒が大いに困惑していることにも気付けなくなるのだ、ということを一刻も早く世に知ら示さなければならない。 ほんと、やってらんない 「あーほんとなんなのあいつら。ちょっと助けてかすが。」 「うるさいあっちいけ」 「…は?」 「漢くさい香水くさいヤクザくさい」 「ちょっ、ひどい!俺に罪はない!」 なんなのこの役回り! (つか俺お前の隣の自分の席に座ってるだけじゃん) (起立気をつけ回れ右前へ進めあっちいけ) (…無茶いうなよ) *** どんまい佐助 蛇足:相関イメージ こじゅ→だて→さすけ←→幸村 |